小生さんの台所

一人称は小生。以前は中華料理店に勤めていました。

【食材】松茸とその問題

ご機嫌いかがでしょうか?

最近の日本の四季は明瞭でないので、今が秋なのか、夏なのか、はたまた冬なのか、わかりませんが、青果コーナーの品揃えを見ると、なんとなく秋が来たことを体感する。

 

松茸である。

 

仄聞するところによると、最近のヤングは松茸を喜ばないらしい。

それは、食べ飽きているからか、もしくは、高すぎて手が出せないばかりか、手に入れることすら困難であるから、そもそも食べたことがないからかであろう。

間違いなく、後者です。

昔は、よく接待で、丹波にお連れし、但馬牛(≒神戸牛)のすき焼きの上に、牛蒡のごとく、松茸を山盛りにして食べていたと聞く。それは、今となっては、現世でそれなりに徳を積んだ故人が冥土で提供される食事と化している。

 

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ある日の此岸(この世)における百貨店での光景

 

高い。ウォンかと思いました。

 

ちなみに、最近は韓国産の松茸もよく並びます。下手な国産よりよっぽどいけます。松茸ご飯だけでなく、八宝菜に入れると、ブルジョアの気分が味わえます。

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筆者宅厨房における韓国産松茸

 

問題の所在

 

茶番はこの辺にして、今日の松茸問題の所在はどこにあるか。それは、言うまでもなく、森林の荒廃化である。

昔は、林家といって、主として材木の供給のために、森林を管理する地主が存在したため、森林は、手入れが行き届いていて、その答え合わせである松茸も容易く手に入った。しかし、丸太自由化以来、安価な輸入材が国内木材需要を席巻し、また林家の高齢化により、国産木材の需要低迷、後継者(管理者)不足により、人間が手を入れていた森林が適切に管理されることなく、荒廃化していった。その結果、松茸も姿を消していった。

特に、松茸は、その名の通り、赤松の根元に生えるキノコの一種である。松は、ご承知の通り、一朝一夕には生長しなく、また高級材として知られている。国産松など高級材は、丸太自由化以降も、「外材」(輸入材)に負けず、高級建築材等の需要が存在したが、ここ最近より現在では、やはり需要が低迷している。つまり、松茸の生育環境は整備されていない。なるほど、松茸が手に入らないわけである。

 

じゃあどうするべき?

小生は、あとどれくらい命があるか分からないが、やはり、秋には、これからも松茸が食べたい(切実)。

個人的には、今の若者にも、松茸の味を知ってもらおうと機会があれば、松茸料理を振る舞うことにしている。(そんなに沢山仕入れられないけどね。) また、積極的に、森林の管理の現状や林政にも刮目している。しかし、たかだか、小生のような一個人たちが、ワーワー言ったところで、雀の涙にもならない。森林資源に詳しい諸大学の森林学部、農学部の教授や学生、そして、これからも松茸が食べたいグルメ家たちが、声を大にして、行政に訴えていかなければならないのではなかろうか。

様々なご意見を賜りたい。